2010年 05月 07日
システム/パソコン/ネット/ケータイ/ゲーム/ツィッター
ボードリヤールは、著作『シミュラークルとシミュレーション』(1981)で、
現実とそのイメージの関係を、
(1)現実の忠実な反映としてのイメージ
(2)現実を歪めるイメージ
(3)現実の不在を隠すイメージ
(4)いかなる現実とも無関係なイメージ
に区別し、(4)を「オリジナルとコピーの二項対立を超越した純粋なシミュラークル」と呼んでいる。
そして、「現実と記号の等価性の原則から出発する表象」とは異なり、
もはや「客観的現実を必要としないシミュラークルの産出過程」をシミュレーションと名づけるのである。
このような思想の前提には、
あらゆる財とサービスが情報メディアのネットワーク上で差異表示記号として機能する現代消費社会では、
現実と記号の関係が逆転し、現実世界自体が記号化されてしまったという認識がある。
ボードリヤールのシミュレーション論がスーパーリアリズム(ハイパーリアリズム)など現代美術に大きな影響を与えたのはそのためである。
シミュラークルの実例は、コンピュータ・グラフィクスやホログラム(三次元写真)などからディズニーランド型のテーマパークまでじつに多様であり、20世紀末以降は高度消費社会そのものがシミュラークル化しつつある。