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青山二郎の“眼”、蓄音機の耳、カザルスのチェロの響き

数多いる異種同種道具屋古道具屋さんや昨今の「何でも鑑定団」の先生方や、音楽などの様々な評論家先生など全く気にも当てにもしていないのですが、著作を読んだわりと昔から、この方の“眼”にはひれ伏しています。
青山さんのほか、柳さんや北大路さんも同じラインで、自身としての<美を見抜く“眼”>に感服しています。
<“キレイ”ということ>と<“美”ということ>の違い、金銭的価値と本質的価値の違い、知識と智慧の違い。

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例へば私を一度でも知ってゐる、總ての人の見た私が私だとしたら。
それが正真正銘の私だと観念したら、私の人生の意義と言へるものは、人から何を求められてゐるか、どうみられてゐるかそれを如何に私が踊ったかに懸かってゐます。
ひょっとこの踊りでも致し方がない、人の見た私が私の總てです。
人の眼に隠れた何かの精神が、私の何処かに納ってある譯のものでも無ければ、人の知らない何かの内容を私が密かに温めてゐる筈もありません。
そんな積もりで自惚れれてゐる姿は、たゞキザに見えるとはキザに見えると謂ふ言葉が見てゐる頭の働き方に過ぎないから、眼玉は本來そんな事柄を見てゐる筈がありません。
積りとか、自惚れとか、思惑とかいふものは妄想に過ぎないから、勿論私でさえありません。
萬人の眼玉が見たものはは眼玉で見たものです、それから來るいきさつはいきさつです。
自家の犬は私の顔を見て、私の魂まで見抜きます。
私の不貞の妻が私を誤解したでせうか。
人に見られただけが私の總てだとすれば、人に買はれただけが私に出來る生活内容の總てです。

青山二郎 / 眼の引っ越し

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ジイちゃんこと青山二郎は昭和54年3月27日に死んだ。
青山の名があるところ、必然のように「高級な友情」に繋がった小林秀雄、師弟として繋がった白洲正子の名があった。
小林は言う、「僕たちは秀才だが、あいつだけは天才だ」と。
「人が覗たれば蛙に化れ」という青山の言葉、俺だけがこの器の良さをわかる。
人は蛙と見てくれればいい。外観に惑わされず、本物の中の本物を発掘するのが青山二郎の志したことと、青山の至福を白洲正子は観じる。
死んだ人間の知ったことではなかろうが、「何もしなかった天才」の死こそ、「残念これに過ぎたるものはない。」

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小林秀雄がようやく世にでたころ、中原中也、河上徹太郎、大岡昇平、永井龍男などはまだ無名、のち「青山学院」と称すようになる希有な才能のサロンの中心に青山二郎はいた。
人物評に長けた河上が記した「色白の、愛嬌のある顔をそのまま端正に磨きあげて、眼の光だけは鋭く、純真率直故に、人の嘘や気取りは誤りなく見抜く、といった風、およそ粋だとか通だとかいったこととは反対の傍若無人の天才」の眠るところ、谷中玉林寺墓地。
陶工加藤唐九郎作になる古瀬戸風の骨壺に収まって、戒名と没年月日、俗名、享年が添えられた「青山家之墓」、陽が傾きかけた初夏の奥津城の中で、やがては緑蔭の懐に寂寒としてある風景のひとつとなった。



青山二郎     ウィキペディアより

青山 二郎(あおやま じろう、 1901年6月1日 - 1979年3月27日)は東京府出身の伝説的な骨董の目利きである。多くの文人を育て、多大な影響を与えた。

高等遊民と呼ばれ生涯定職に就くことはなかったが、装幀家としては沢山の作品を残しまた評価されている。

東京市麻布区(東京都港区)の大地主の家に生まれる。生家は徳川家に重臣として仕えた青山家。旧制麻布中学在学中から絵画や陶器に親しみ、中国や朝鮮や日本の焼き物を探求した。

若き日に柳宗悦や浜田庄司たちの民芸運動に参加するも、後に袂を分かった。柳の甥の石丸重治と雑誌「山繭」に関わり、そこで小林秀雄と運命的な出会いをする。骨董を愛玩するなかで鍛えた眼で本質をずばりと見抜き、ときに手厳しい批評を行った。親友の小林を幾度も酒席で泣かせたといわれる。

自宅には小林秀雄、河上徹太郎、中原中也、永井龍男、大岡昇平といった文人たちが集い、「青山学院」と呼ばれた。白洲正子、宇野千代なども弟子にあたる。

著書

眼の引越    初版は創元社、中公文庫 限定新版でも刊行
眼の哲学・利休伝ノート  鎌倉文士骨董奇譚     各講談社文芸文庫
青山二郎全文集      ちくま学芸文庫上下  
元版は「青山二郎文集」 小澤書店(増補版も刊行) 野々上慶一、郡司勝義編 
骨董鑑定眼   ランティエ叢書 角川春樹事務所
陶經 古書肆「国分寺えびな書店」で複製刊行 和装本、元版は「二郎龍書房刊」

関連書籍
いまなぜ青山二郎なのか - 白洲正子
遊鬼―わが師わが友 - 白洲正子
おとこ友達との会話 - 白洲正子
心に残る人々 - 白洲正子
美は匠にあり - 白洲正子 各新潮社と新潮文庫
青山二郎の話 - 宇野千代 中央公論社、中公文庫のち改版
天才 青山二郎の眼力 - 白洲信哉<とんぼの本> 新潮社
青山二郎の素顔―陶に遊び美を極める 森孝一編 里文出版、のち新装版
改題し「青山二郎と文士たち 骨董交友録」 文庫版、里文出版
高級な友情―小林秀雄と青山二郎 野々上慶一 講談社文芸文庫
『青山二郎の眼』<解説付> 新潮社 2冊セット
2006-2007年の愛媛県美術館、新潟市美術館他での展覧会図録 
青山二郎の眼 - 青柳恵介編<別冊太陽日本のこころ> 平凡社
小林秀雄対話集 講談社文芸文庫
死の骨董―青山二郎と小林秀雄- - 永原孝道 以文社



読書の秋。ガラス窓のレリーフと丸取っ手のステキな古い本箱、入荷。愛蔵書収納などにお使いください。

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蓄音機の耳、カザルスのチェロの響き。


by greenwich-village | 2009-09-28 21:51 |

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