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大晦日、あと12時間もすれば新年ですね。
ネットも年越しは混雑するでしょうから、一足先にあけましておめでとうございます。
皆様の2008年が、素晴らしい一年になりますようにお祈り申し上げます。

f0148098_12273132.jpg「三四郎」  夏目漱石

(・・・・・中略)
浜松で二人とも申し合わせたように弁当を食った。食ってしまっても汽車は容易に出ない。窓から見ると、西洋人が四、五人列車の前を行ったり来たりしている。

そのうちの一組は夫婦とみえて、暑いのに手を組み合わせている。女は上下(うえした)ともまっ白な着物で、たいへん美しい。三四郎は生まれてから今日に至るまで西洋人というものを五、六人しか見たことがない。そのうちの二人は熊本の高等学校の教師で、その二人のうちの一人は運悪くせむしであった。女では宣教師を一人知っている。ずいぶんとんがった顔で、鱚(きす)または(かます)に類していた。だから、こういう派手(はで)なきれいな西洋人は珍しいばかりではない。すこぶる上等に見える。

三四郎は一生懸命にみとれていた。これではいばるのももっともだと思った。自分が西洋へ行って、こんな人のなかにはいったらさだめし肩身の狭いことだろうとまで考えた。窓の前を通る時二人の話を熱心に聞いてみたがちっともわからない。熊本の教師とはまるで発音が違うようだった。
 
ところへ例の男が首を後から出して、
「まだ出そうもないのですかね」と言いながら、今行き過ぎた西洋の夫婦をちょいと見て、
「ああ美しい」と小声に言って、すぐに生欠伸(なまあくび)をした。三四郎は自分がいかにもいなか者らしいのに気がついて、さっそく首を引き込めて、着座した。男もつづいて席に返った。そうして、
「どうも西洋人は美しいですね」と言った。
 
三四郎はべつだんの答も出ないのでただはあと受けて笑っていた。すると髭の男は、
「お互いは哀れだなあ」と言い出した。

「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、――あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一(にほんいち)の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」

と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。

――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。だからことによると自分の年の若いのに乗じて、ひとを愚弄(ぐろう)するのではなかろうかとも考えた。男は例のごとく、にやにや笑っている。そのくせ言葉(ことば)つきはどこまでもおちついている。どうも見当がつかないから、相手になるのをやめて黙ってしまった。すると男が、こう言った。

「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」
でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。

「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。
とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひいき)の引き倒しになるばかりだ」 

この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯(ひきょう)であったと悟った。

その晩三四郎は東京に着いた。髭の男は別れる時まで名前を明かさなかった。三四郎は東京へ着きさえすれば、このくらいの男は到るところにいるものと信じて、べつに姓名を尋ねようともしなかった。
(・・・・・後略)
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by greenwich-village | 2007-12-31 12:30 | | Comments(0)
さて、聖夜前夜も明けて吉日、みなさんそれぞれのクリスマス・イヴをいかがお過ごしだったでしょうか。

f0148098_1547215.jpgボクは早々と、前倒しの22日にアメリカン南部ダイナー&バー「ルイジアナ」にて、本格的な七面鳥を頂きました。
カシラやモツで取ったダシに赤ワインを入れたスープ、そのルーで米から炊き上げたゴハンをターキーの腹中に詰め込んで焼いた絶品のアメリカン・ターキー・ディッシュ。
合せ乗せる甘いクランベリー・ジャムと肉の相性が抜群で、驚き。そして何といっても、七面鳥のエッセンスが奥の奥まで染み込んだターキー・ライスの美味いこと美味いこと。噛み締めるほどにメリー・クリスマスなのでありました。

f0148098_1547403.jpg昨夜24日は、ジャマイカン+アジアン=「ハイキング食堂」にて、ベル・ヴュー・クリークというベルギーのチェリー・ビール。
ベルギーでは実に個性豊かな様々なタイプのビールが作られているのですが、これはビールにサクランボを浸して作ったロゼよりも赤い色をしたビールで、ビールのシャンパンと呼ばれている逸品。ビールの風味とサクランボの甘味のハーモニーが思い出のように“ほろ苦く”、またクリスマスのように華やかに酔わせてくれます。
そしてシャンパン。これにセットでこれまた美味しいダーク・チョコレート・ケーキを頂きました。マスターのKくんとボクとで赤い服を着ていたのには苦笑しました。

f0148098_1548520.jpg飲み食いも美味しいですし、仲間たちとのくだけた語らいも楽しいですが、やはりクリスマス。子供がいないボクは、兄夫婦の子供たち・四歳になる双子の甥っ子姪っ子にささやかなプレゼントを贈りました。
「ほら、サンタさんが来るから早く寝なさい」とか言われて、きっと心待ちに寝たことでしょう。朝起きると枕元に、兄たちが買ったオモチャや両方の爺婆やボクからの贈り物の山を見つけて、「サンタさんからだぁ」と大そう喜んでいたそうです。いまは大人になったボクたち誰もが、かつて心待ちして楽しかったあの感じですね。

f0148098_15482283.jpgロマンチックなものではないですが、こうやってクリスマスの時期の食べ物や飲み物を食して、ささやかでも誰かにプレゼントを贈ることが出来て喜んでもらえるというのは、当たり前なことかもしれませんがありがたいことだなぁと思うのです。
プレゼントを頂くのは嬉しいことですが、それ以上に、贈ることが出来るのがとてもうれしいと感じます。
高価なものや贅沢品でなくてもいい。義理や体裁でもない。まして欲望とはまったく違う。
貰うほうにも贈るほうにも、気持ちのそういうところにサンタクロースはいるのだろうなと思うのです。そんな、少しだけ優しく清らかな気持ちにさせてくれるのがクリスマスの魔法なのかもしれませんね。

ボクは甥っ子姪っ子から、喜びの笑顔のプレゼントを頂きました。幸せな気持ちです。
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by greenwich-village | 2007-12-25 15:24 | その他 | Comments(3)

J1G1M1

☆サッカーのJ1リーグ、低迷老舗ヴェルディ川崎が悲願の昇格。

☆競馬のG1レース「有馬記念」、本命を蹴落とし、下位人気薄マツリダゴッホ一着。

☆漫才のM1グランプリ、大方の予想を裏切り、敗者復活者サンドウィッチマン優勝。
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by greenwich-village | 2007-12-24 15:59 | その他 | Comments(0)

アイディア

人が新しいアイディアを恐れる理由が、私には理解できない。
古いアイディアのほうが、私は怖い。
                         -ジョン・ケージ(音楽家)

発見とは、ほかのみんなと同じものを見て、
違うふうに考えることによって生まれる。
                         -アルベルト・フォン・ナギラボルド(物理学者)

多くのアイディアは、芽が出た場所より、
他人の頭に移殖したほうがよく成長する。
                         -オリバー・ホームズ(法律家)
 
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by greenwich-village | 2007-12-23 22:43 | その他 | Comments(0)
「ハッピー・クリスマス」   ジョン&ヨーコ

f0148098_12231999.jpg今宵はクリスマス  今年はどんな年だった?
一年が過ぎていき  また新しい一年が始まる
それがクリスマス  みんな 楽しんでるといいな
親しい人 大切な人  老いた人も 若い人も

メリー・クリスマス  そしてハッピー・ニューイヤー
良い年であることを祈ろう  なんのためらいもなく

今宵はクリスマス  弱い人や 強い人にも
金持ちや 貧しい人にも
世の中間違いだらけだけど  

ともかく ハッピー・クリスマス  肌の黒い人や 白い人にも  
黄色い人や 赤い人にも   さあ もう争いは止めよう

メリー・クリスマス  そしてハッピー・ニュー・イヤー
良い年であることを祈ろう  なんのためらいもなく

今宵はクリスマス  どんな年だったかな?
一年が過ぎていき  また新しい一年が始まる
それがクリスマス  みんな 楽しんでるといいな
親しい人も 大切な人も  老いた人も 若い人も

メリー・クリスマス  そしてハッピー・ニュー・イヤー
良い年であることを祈ろう  なんのためらいもなく

戦争は終わる 君が望むなら  戦争は終わりにできる
ハッピー・クリスマス
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by greenwich-village | 2007-12-23 12:28 | 音楽 | Comments(0)

FUNKY

f0148098_18482518.jpgジャケットはこんな具合なのですが、中身は完璧です。パーフェクトなオムニバスCD。
「ブリリアント・ファンク VOL.1」。1600円。
stereophonic/discomagicというイタリアはミラノのレーベルからのコンパイル。
ブリリアントってタイトルも決してイカしていないんですが、フロア・ソウルでナイスな選曲です。
完全にこれ系のDJ泣かせ、グルーヴィー・ラウンジ/ファンキー・ディスコ系のイベントならこのCD一枚で持ち時間充分で、DJは必要ありません。存在意義が問われそうなコンピです。内容は下部↓写真の通り、渋めです。DJ流に「使える!」というなら全曲使えます。
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ファンク/ソウル・トレイン好き、アゲアゲなクリスマス・パーティーにもピッタリですよ!!
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by greenwich-village | 2007-12-20 18:59 | 音楽 | Comments(0)

甘酒の飴

真冬といえば、あったかい甘酒。美味しいお酒の酒粕を柔らかい飴にしてみました。
新入荷、亀田酒造の「寿萬亀・ソフト甘酒飴」
酒蔵が自ら酒粕で作った自信の逸品。和キャラメルの食感を一度ご賞味下さい。
380円。

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280年の歴史を持つ千葉県鴨川市の造り酒屋「亀田酒造」。全国で唯一、明治神宮に献上を許された酒蔵です。毎年、明治神宮新嘗祭の御神酒として使われています。
こちらの酒粕を使って出来上がった、とても香りがよくて美味しい飴が「ソフト甘酒飴」
キャラメルのような食感で、噛んだ瞬間にふわ~っと甘酒の風味が口に広がります。
亀田酒造の蔵の売店のみで販売だったものを今回販売させていただきました。
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by greenwich-village | 2007-12-20 14:10 | 食べ物 | Comments(0)

ブラジル

f0148098_16184916.jpgいま、ブラジル人/サンバ音楽のルーツ、バイーア地方の「カンドンブレ」で行われるアフロ・ブラジリアなパーカッション音楽のCDを聴いています。

ブラジル北東部・バイーア州都サン・サルヴァドール・デ・バイーアの三分の二は黒人。アフリカからの奴隷の子孫たち、今もその伝統が活きついています。ヨルバ系文化の根本がカンドンブレ、キューバの「サンテリア」、ハイチの「ヴードゥー」と同根。

「サンバ・ヂ・ホーダ」というダンスがカーニヴァル・ダンスの元になり、サンバ音楽のルーツは、ガーナ・ガ族のドラム、パロゴ。

カンドンブレは、ヨルバ伝統を継承した宗教。「カンドンブレ」という言葉は、奴隷たちの宗教舞踊「カンドンベ」に由来し、神はオリシャと呼ばれるそうです。ヨルバの衣装、ヨルバの神々、ヨルバ語の歌、ヨルバのリズムでの祭儀。

バイーアのカンドンブレ人口は全体の90パーセント、ブラジル人の20%。
ブラジルの奴隷制は300年、19世紀の終わりまで続き、世界中で一番最後まで奴隷制を廃止しなかった国。
「ブラジル」と言う名は、「パウ・ブラジル」という染料になる木から来ているそうです。


(グリニッチ・ヴィレッジでは、主にバンドもの、プレイヤーもの、生もの、ナチュラル、アコースティック、オーガニック、グルーヴィーな音楽を中心に取り扱っています。打ち込み・デジタル・ダンスもの・擬似・DJツール・クラブ系音楽はあまり取り扱っておりません)  
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by greenwich-village | 2007-12-17 16:08 | 音楽 | Comments(2)

ラジオ・ノーウェア

ボクは幼い頃に「ROCK&ROLL」という音楽に出会い、それで育ってきました。
なのですっかり中年になった今でも、ロックンロールという価値で生きています。

f0148098_2131442.jpg「ラジオ・ノーウェア」
ブルース・スプリングスティーン


故郷に帰る道を探していた  
ラジオから聞こえるのはいつもあの単調な音
遠く人工衛星から配信される
コピーされた顔のない音楽が
腹黒い孤独な猿マネ人を歓喜させる

こちらラジオ・ノーウェア  
そちらにまだ誰か生きている奴はいるか?

役に立たないダイヤルを回し続けた  どれもこれもファイルされた精気のないデザイン
魂を感じる世界を探して  うす暗いトンネルを進んでいった
こちらラジオ・ノーウェア  そっちに誰か生存者はいるかい?

聞きたいのは激しいリズム  欲しいのは千のギター
欲しいのは轟くドラム  欲しいのは熱狂的な叫び声
こちらラジオ・ノーウェア  そこで誰かまだ息をしている者はいるか?

雨の中  ロックンロールの“ミステリー・トレイン”を探して車を走らせた
そこにいるはずの誰か  キミと繋がることを望みながら  青空の荒野を進んだ

こちらラジオ・ノーウェア  そちらにまだ誰か生きている奴はいるか?
こちらラジオ・ノーウェア  そっちにまだ誰か生存者はいるかい?
こちらラジオ・ノーウェア  そちらにまだ誰か息をしている奴はいるかい?

ラジオ・ノーウェア  応答願う  そこで今でもまだ生きている奴はいるか?  
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by greenwich-village | 2007-12-16 22:19 | 音楽 | Comments(0)
f0148098_17585391.jpg好きな映画サウンドトラック・アルバムは沢山ありますが、筆頭はライ・クーダーのアコースティック・スライドギターで描かれたヴィム・ヴェンダース監督の「パリ・テキサス」
映画も見てサントラも好きだ、というものもあれば、映画は見ていないけれどサントラ・アルバムはいい、というものもあります。
「big bad love」というこの映画のサントラ。日本では未公開でしょうか、ボクは見ていないんですが、アルバムはとてもいい感じです。ストーリーは、南部を舞台にベトナム戦争帰りのウダツのあがらない男の、ウダツのあがらない悲喜こもごも、といったところらしく、ブルースやカントリー、ギターでまったりウダウダした楽曲が満載です。
トム・ウェイツ、スティーヴ・アール、ケニー・ブラウン、R.L.バーンサイド、ジュニア・キンブローグ他、バディ・ガイやノーマン・ブレイクもセッションで参加、元テレヴィジョンのトム・ヴァーラインとクロノス・カルテットの競演という意外なものも収録されています。
発売レーベルはさすがの「ノン・サッチ」。本編は知りませんが、オススメのサントラです。

f0148098_1827751.jpgこういうサントラを聴いていると、ダラダラとした時間が流れていくのですが、まぁそれもいいかということで、金延幸子の「時にまかせて」。大滝/細野/ティン・パン・アレイのバックアップで作られた名作アルバム「み空」収録の名曲です。
和製ジョニ・ミッチェルともいわれますが、アコースティックな透明感と瑞々しい曲作り、浮遊するヴォーカルは、確かに当時としては早すぎたのかもしれません。その分、いま聴いてもまったく違和感なく、若い世代にもすんなりと馴染めると思います。日本語の良質のポップ音楽、激薦。

「時にまかせて」  金延幸子

確かめるなんて むだなこと   思いつくままに 気の向くままに
やればいいさ 時にまかせて   凡て 時が 解決してくれる

あれや これやと 考え込むより  顔を笑いに 戯れさせて
のんびりするさ 時にまかせて  総て 時が 解決してくれる

通りすぎてしまったことは  思い出す時に 思い出せばいいさ
気楽なもんさ 時にまかせて  全て 時が 解決してくれる

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気忙しい師走の週末ですが、グリニッチヴィレッジは何だか取り残されたように静かです。
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by greenwich-village | 2007-12-15 18:43 | 音楽 | Comments(2)

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by グリニッチ・ヴィレッジ