2008年 09月 06日
オールド・クロウ・メディスン・ショー
紛れもない傑作!!
今の若者たちが今の感性でこういう音楽に親しんで、こういう音楽をこういうスタイルで演奏して、彼らの音楽の意味を伝えるこういう映像で、こういうふうに発売されて、と米音楽業界と音楽事情の懐の深さ、底辺の広さ、聴衆もレコ社もディレクターも、売り上げとか人気とかポーズだとか顔役になってチヤホヤされたいとかただ時代に振り回されているだけで、2年もしないでただ消費されていく音楽とは違って、音楽とその立脚する土壌に対する真摯で揺ぎない愛情が伝わってきます。
誰が言ったか、「太陽の下に新しいものなどはない」という故事成語は真実ですね。
(ちなみに、今先端といわれるような類の音楽は、50~60年代頃からの現代音楽やジャズやロックでやり尽くされたものを、「楽器が出来なくても、曲が作れなくても、明日からキミもアーティスト」気取り的な誰でも扱える簡単便利なテクノロジー機材で、キャンディーポップにリ・アブストラクトにリ・ミニマルに薄めて拡大再生産化したものでしかありません。
マテリアルの進化とマスコミや音楽産業の細分化はありがたいもので、誰もが天才ミュージシャン誰もが天才クリエイターとして実のないアーティストチックなプライドだけを肥えさせられますね。創造性・希薄脆弱なインスタント・キッチンと感動・予定調和のインスタント・オベーション。
聴かない知らないから新しいともてはやされるだけで、ルーツを辿れば「あぁ、なんだ、もうとっくの昔にあるんだ、どれもこれも何にも新しくないんだなぁ」とちゃんとたどり着く。)温故知新。
(ルイジアナ・ブログから転載)
「2006年5枚目のアルバム。画像の曲は「アイ・ヒアー・ゼム・オール」。ハリケーン・カトリーナ後のニュー・オーリンズで撮影されているようです。バス停でバスが来るのを待ちながら演奏する彼等。来たバスの運転手は何とジョージ・ポーター(ザ・ミーターズ:Bass)ではありませんか!
この曲はカントリー・タッチですが、他にはストーンズもやっていた「ダウン・ホーム・ガール」や、メンフィス・ジャグ・バンドの「コカイン・ハビット」、キャノンズ・ジャグ・ストンパーズの「ミングルウッド・ブルーズ」、あとはウッディー・ガスリーの曲なんかもやっていて、ブルーズ、R&B、カントリー、ブルー・グラス、フォークと、アメリカン・ルート・ミュージックの玉手箱のようなアルバムに成っています。
時代に流される事なく楽しめそう。こいつはハッキリ言って名盤じゃないですか!?」
まさに!
素敵なコーラスワークは、初期フォークロック~後期カントリーロックのバーズとか、CSN&Yとかを想起させますし、ハープの感じはディラン的。
ザ・バンドをはじめ、過去ディランは何度も、若手バンドや名もなきミュージシャンと組んできていますが、ここ二十年のディランはアメリカン・ミュージック・キーパー/伝道師といった面持ちで、この若手をバックにディラン爺を!なんて思ってしまうのです。
ジャケットのメンバーが立つ後ろの看板!!
彼らが影響を受けたであろう偉大な3ミュージシャン、ハンク・ウィリアムス/エルヴィス・プレスリー/ボブ・ディランが写ってますね。そういう理解力とリスペクトとユーモアがあるメンバーとデザイナーがまた素敵です。
(写っていないあと一人は誰だろう?)
オールド・クロウ・メディスン・ショー on YOUTUBE
http://jp.youtube.com/watch?v=ug7IgB8MfWE&eurl=http://blogs.yahoo.co.jp/louisianaiwaki2003/25485312.html