暗部の深度 / サーフ・サウンド

UKのマージービートやモッズのような、日本のGSのような、雨後の竹の子のような、USのサーフサウンドも有象無象あまたのバンドが登場して、それがブームというものですが、サーフ音楽なるスタイルなどはなくて、今のサーフィン音楽は60年代サーフ音楽と全く違うので、今も昔も、サーフィンや海遊びの時に若者たちが楽しんでいる音楽、というものがサーフ音楽というわけです。ベンチャーズ直系の深いリヴァーブがビンビン響くエレキギターサウンドに、アメリカンスタイル伝統のコーラスワークがビシッと決まったものが、いわゆる60年代サーフ音楽。

代表的な初期ビーチボーイズなどの唄ものもあれば、エレキインストものもあって、それらが全部、サーフ/海と何らかの関係を持たせているかのようなイメージです。海を強調した歌詞やサーフといわれなければ、音だけ聞けば何がサーフで何が海なのか、エレキがビンビンなっているもので、海のイメージを排したUSガレージ音楽ともリンクします。

UKのモッズが、アメリカ文化・音楽に憧れた無いものねだりだったように、USのサーフも、海だとか映画アメリカングラフティの50年代的くったくのない青春謳歌へのオマージュだったわけです。そしてどちらも、音楽的に親しみやすくともトガッって少し不良がかっている感じ。

「不良性」というのは、いつの時代もどんなジャンルの音楽も、ポピュラー音楽のもっとも重要なエッセンスで、それがない大衆音楽は学級委員長や生徒会長のように、優等生ではあっても魅力に欠ける。それぞれの時代時代の、みんなが憧れる不良が、スターでありポップスでありアイコンになります。

優等生・品行方正が爽やかでまぶしいなら、不良はダークですから、時代時代というのは、光が影を作るのではなくて、影が光をあぶりだした結果なのです。

ポジティヴなものがポジティヴとしてポジティヴだけの世界だったら、世界はコントラスト・バランスを失って、のっぺりと薄明るいだけのノッペラボウになってしまう。不良性・アウトサイダー・個性という影が、明るい部分を立体的に削りだしていく。
たかだかPOPSから少々大げさに言うと、群衆によって形作られている光りあるこの社会は、フィルム写真のネガのように、「暗部の深度」の反発力なのです。


曲は、映画パルプ・フィクションでお馴染みの不良サーフ音楽。



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by greenwich-village | 2015-02-27 10:54 | グリニッチ・ヴィレッジ

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