「現実を直視する勇気と信念」を持たない永田町を頂点とする日本社会のピラミッド

テレビのバラエティ番組タレントたちが廃業に追い込まれそうなほどの迷走する馬鹿っぷり。
昨日は賛成で、翌日は反対で、一夜明ければまた賛成。その言い訳がまた饒舌で滑稽だ。

コイツらどいつもこいつも、なんとかならないものかと思うのは私ひとりではないだろうけれど、なんともならないのがシステムで、またそういう人たちしか選べない民主主義下の私たちの責任と義務でもある。
人を恨まば穴二つ、情けは人のためならず、結局は何事も、自分がとった行動はいつも自分のところに戻ってくる。

連中の愚かさ滑稽さは、私たちの愚かさ滑稽さでもある。そうでなければ社会・共産主義や軍国・全体主義のシステムになってしまうが、いまのところ一応は日本は民主主義国家の体裁を保持している。
どこにでもいる私たちと変わりないただ普通の人が政治仕事に選ばれて任されている、というだけのことだから、キャリアが長くなろうが幅を効かせようが、選挙で交換すればセンセーでもなんでもない。
交換されたヒトより権力欲の深い何でもない別の人が、また即席センセーになっていく。

つまり代議士センセーとは、ただ単に国会議員バッヂをつけた人のことを指す。それだけなのに、水戸黄門の印籠のごとく、エライだの立派だの、何か欲しさでひれ伏す有権者も多々いる。

その時何か融通して都合のいいことをしてほしいだけで、はなから信頼していないのに、「信頼を裏切られた、裏切った」などというのはいかにも日本的だ。
センセーもそのあたりの藪にらみだけには長けていて、実際はたいした美味しくもない餌をちらつかせたり蒔いたりする。

昨今の自称お笑いタレントたちはテレビ的以外に才能がないせいか、自ら、出演タレントたちこぞって集団で観衆と同じように自分たちが笑ったりはしゃいだりしているが、
喜劇やコントは面白く笑ってしまうのは、あくまでも舞台のその人たちが頓珍漢なことを大真面目になって右往左往演じているからだ。
民主主義の舞台の上には、私たち国民の演じる役どころもちゃんと用意されていて、たとえば通行人Aのセリフは「あぁ~」と嘆くだけ、Bはセリフもなく知らんぷりといったところである。


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現実を直視する勇気と信念    白洲次郎


習い性となるとか何とか言う諺があるらしいが、この頃の日本人の傾向として、習いがもう完全に性になったんではないかとしばしば思うことがある。
それはよく言われるシワヨセ作業の一種とも言えることである。
前にも書いたが船会社もこの一例ではないだろうか。
船価が高くて国際競争ができぬ。船価を下げろ、又は船価を下げると同結果を招致する措置を採れと政府に迫る。
造船業者は鉄材が高いから船価が高いのだと云う。製鉄屋は石炭が高いのだという。石炭屋も一応何とか云うだろう。
私の云うシワヨセというのは普通に使われているシワヨセとは少々意味が違うだろうが、みんな俺は悪くない、外の奴のせいだと言い張る。電気を主要の原料の一つとして使う生産業者は、常に輸出の不振を電力のせいにして澄ましている。
共産党じゃないが私はお互いにもっと自分自身を反省すべきだと思う。

―中略―

今迄はまぁ何とかごまかして俺は好い人で、文句なく悪いのは外の奴と、自己陶酔も出来たかも知れぬが、我が国の経済事情が現在程深刻になって来るとそんな大平楽なことはいっておられなくなる。

他人様が起こした火事であろうが、自分のうちで始まった火事であろうが、燃えてしまえば只の灰になるだけで、彼奴が悪いの、此奴が不届となすり合いをやってみたところで、灰になってしまえば手のつけ様のある筈もない。
又今の様なこの土壇場で、人はどうあれ、俺だけは何とかうまく切り抜けてやろうなんていう様な根性を、発揮できる余地があるとも思わない。

―中略―

私の言いたいのは目の前に横たわるこの難局は容易なことで乗切れるものではないと言うことだ。どんな嫌なことでも、事実は事実として勇気をもって直視直面することだ。他人様にシワヨセをして澄ましていようなんていう様な安易感は通用しないということを強調したいだけだ。

私個人としては昭和二十八年は嫌な年であった。然し国民の一員として考えると嫌なことはもっともっとふえる。もっともっと深刻な嫌なことが始まるだろう。
生意気なことを言いやがったと方々でおこられるのを覚悟して言うが、この国をこんな破産状態に陥れたのも我々の時代だ。死ぬまでに我々の愛する子孫の負担がいくらかでも軽くなっている様に、ここでほんとに腰をいれてやろうではないか、現実を直視して。勇気と信念を以て。


1954年 文芸春秋から
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by greenwich-village | 2011-06-04 11:02 | グリニッチ・ヴィレッジ | Comments(0)

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