「上を向いて歩こう」がCMのバラード曲なら、悲しみと思い出だけで明日に向かって歩けなくなる

久しぶりに音楽の話だが、もちろんあくまで、いつもどおりごく個人的な感想だ。


ヒットチャートやカラオケ人気曲は、もうほとんどバラードの応酬だが、
いくら日本人アジア人がバラード大好きな人たちだからといって、
「上を向いて歩こう」は、朗々と切なく歌い上げるようなバラード曲ではない。
朗々と切なく歌い上げてしまうと、あの歌の持ち味、本質が平たい別なものになってしまう。

ああいう曲だからこそ、軽やかなテンポで軽やかにステップを踏めるようなリズム曲だ。
「涙がこぼれないように」だからこそ、なんとかして気持ちを持って前に向かおうよ、という歌だ。
お涙頂戴、はい、これで泣いてください、感動してください、というバラード仕立てではない。

CMの意図は、被災地域・被災者たちに向けてなのかもしれないが、
だいたい、これだけの被災をしていて被害を受けていて人が死んでいて、そもそも泣いていない人はいないし、途方にくれていない人はいないし、怒っていない人はいないし、やりきれないでいない人はいない。

もともと泣いている人に、さぁ感動して泣いてください、といってもそれ以上に泣くわけがない。

テレビの向こうの音楽なんかで泣いたり感動したりするよりも、身内が亡くなって泣いたり、ボランティアや助けてくれる人たちの気持ちに感動しているのが現実だ。

あのCMはやはり、非・被災地域の皆さん向けのものという意図のほうが強い。


おそらくノー・ギャラか知らないが、出演タレントの皆さんの何かしたいというお気持ちはいいと思うが、あれでは「立ち上がれない」ムード歌謡だ。
シクシク、メソメソしたまま、被災地はいつまでも被災地のまま、かつての思い出に浸ったまま、悲しみにくれたまま年老いていきましょう、といった気分になる。
「上を向いて歩こう」は、そんな昨今流行のバラード曲ではない。

サントリーさんと電通さんとアレンジした方と出演熱唱しているタレントの皆さんには申し訳ないが、
当然、坂本九さんのオリジナルが一番いい。

日本屈指のR&B、原曲は、悲しみをたたえながらこんなにも軽やかだ。





どうせなら、原発一号機、三号機の水素爆発映像に合わして、オリジナル曲でやってほしいものだ。


お笑いタレントまで出演するなら、やはりこれだ。こちらも、原曲は坂本九さんがオリジナル。
悲しみだけにくれていても仕方ない。明日は来る。明日のステップがある。



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Commented by sunra-cloudy at 2011-05-04 01:02
このCMは嫌な感じがしますよね。
ライブエイドあたりを真似した、
非・被災地域向けCMだと思いますが
誰に何を伝えたいのかが分からない。
悲しみの自己満足と言えば、
言い過ぎになるかもしれませんが……。
Commented by greenwich-village at 2011-05-08 10:30
まさにライブエイド!そして「悲しみの自己満足」とは言い得て妙!!出演タレントが好きな方には申し訳ないですが、やはりちょっとダメですよね。
サントリーは昔からイメージCMが得意ですから「こんな時も安らぎの気持ちで・・・ウィスキー」といったところでしょうか。
by greenwich-village | 2011-05-03 10:40 | グリニッチ・ヴィレッジ | Comments(2)

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