1973年から37年目の美声/YAMAKI F-20の枯れない味わい

おかげさまで商いをさせて頂いておりますが、売りたくないモノもあるんですよ。
たとえばこのギターもそう、自分のものにしたいんですが、笑。

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メンテナンス後、気がついたら、昼ご飯も食べずにずっと弾きっぱなしでした。
YAMAKI F-20。 トリプル・オー/フォーク・タイプ

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古いカタログを見ると、1973年のものに掲載されているだけで、その前後にはこの型番が見当たらないので、おおよそ1973年あたりの代物で、37年もののアコースティック・ギター。
制作過程から数えておよそ40年ほど経過したこのmade in japanのギター、ジャパン・ビンテージとよんでも過言ではない激鳴りで、強弱のレスポンス良く、ストレートに響いてきます。

「枯れた味わい」などというと、どこか終わってしまったようなニュアンスがありますが、この37年ものを弾いていて感じたのは、一般に言われる「枯れた味わい」というのはちょっと意味が違うなということ。

「枯れる」と「萎える」は違うし、「痩せる」とも違うし「渋い」とも違う。「悟る」とも違うし「大人しい」とも違う。「上品」でもなければ「滋味」とも違う。

このギター、確かに「枯れた」音なのですが、この「枯れた」のニュアンスは、「余計余分な雑味がなくて、適材適所適量に反応して、的確に音そのものを共鳴させる」といった具合です。

枯れる、つまり木が枯れる。
材料の木が37年の間に完全に乾ききって、また、音だけを的確にはじいて共鳴させる、そういう状態に「枯れている」のです。
余計な湿気、水分を含んでいると音ははじかれない。
37年間乾ききった木は、楽器として、音を共鳴させるためだけに的確に機能する状態になっているのです。
それが「枯れた」音。
萎えたり、悟ったり、老朽化したり、そういう意味合いじゃないんだなぁ、と感じさせてくれるのです。

枯れた味わい、というのは他のものにも人にも適用して使われるニュアンスですが、ボクも抽象的な「渋い」といったニュアンスで使っていたんですが、昼飯を喰うのも忘れてこのギターを弾いていてその意味はちがうのだなぁと感じたのでした。

雑味や雑念、余計な考えや余分な妄想、そういった今やっていることに必要のないノイズが省かれて、今やっていることをただひたすらクリアに共鳴させる、そういったことが「枯れた味わい」ということなんだと、このギターは教えてくれます。
決して高価ではなくごく普通のギターですが、さすが、37年もの!!

弱く爪弾けば弱く、強くはじけば強く、雑味やクセのない「枯れた」音で、激鳴りするんです。
楽器や家具、工芸品というものは、真面目で正直な生き物です。

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YAMAKI F-20 1973年    24000。

掘り出し物・お宝といえば、こういうものがまさに掘り出し物でお宝。
経年でこの状態、めったに出会えません。しかも今はなき名社YAMAKI。

バブル経済以前の日本人の心、技、美意識、価値など、
昔の日本は、どのジャンルでもみんな丁寧な仕事をしていたんです。
そういう仕事・モノは一年の流行りモノで消えて無くなりはしないで、
行列が出来ることはなくても、結果的に未来に受け継がれていくのです。

何がイイとか悪いとかは未来が決めることで、今はあずかり知らぬことですから、
このギターの音色のように、丁寧に時を過ごして行きたいものです。
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Commented by watanabe at 2010-06-16 23:13 x
 こちらのコメント欄から、失礼致します。うちに迎えました、古い机<命名:さとこ>は、古い扇風機やら、バラの花やらを散りばめられ、持ち主のカメラの被写体となっており、元気です、笑。 
 本日、いわきに行きましたおり、アヴァンティさんにお邪魔してきました。
方向音痴のワタクシも、先日の地図のおかげでたどり着きました。奥様もとても感じの好い方で、楽しくおしゃべりさせていただきました。今回はお茶だけでしたが、次回は時間のある時にシッカリと食事をいただいてこようと思います。デッキのイスは、座らずともシッカリとお庭のフォーカルポイントになっていてトテモ絵になっていましたよ。
Commented by greenwich-village at 2010-06-17 00:44
カメラ/写真もやるんですね、イイですね。

どうもです。
あのデスクも上記の本文と同じで、丁寧に時を重ねてきた代物ですから、この先wataさんから未来へ継がれていくでしょうね、きっと。
そう、古い扇風機やバラの花、とても相性がいいでしょうね。
季節柄、うちも袖のあるデスクに相当古い扇風機を出してありますので、見にお越しくださいね、ぜひ被写体にしてやってください、扇風機かデスクが売れてしまう前に、笑。

アヴァンティ、たどり着けてよかった、笑。
かなり隠れ家な落ち着けるお店でしたでしょ。奥さんも気さくな人ですしね。料理も美味しい。
イスは座ってもらってますます喜びますから、次はぜひ、外のデッキでお食事してくださいね、笑。
Commented by almaster at 2010-06-19 19:00 x
“売りたくないモノ”、その気持ちすごく分かります(笑)
それにしても、このギター気になりますねぇ♪
ちょうど田村と同じく73年生まれだし・・・。
次回まで残っていれば是非弾かせてください。
Commented by greenwich-village at 2010-06-19 19:24
売りたくないディジュ、あるでしょ、笑。そういうのはバックヤードに仕舞っちゃうんでしょうか、笑。
本文を書きながら、いろんな楽器のことを考えて想定していました。
ディジュも木製、基本的に同じですよね。
楽器はただひたすら音を響かせることにその存在を費やしていますから、あとはプレイヤーがどう響かせるかが音になって如実に表れますよね。
ぜひ響かせに来てください。
大丈夫、残ってますよ、第一お客さんが来ませんから・・・トホホ。
by greenwich-village | 2010-06-16 20:06 | もの・モノ | Comments(4)

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